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blazeの部屋

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その7『ロストマン』

実は最後の方まで残しておこうと思ってました
この曲は賛否両論あるようで
僕はバンプの中では一番好きです
曲調だけではなく、歌詞も一番
この曲に勝る歌詞はバンプの曲の中では無いと思います

この曲の詞を書くのに藤原さんは9ヶ月の月日を要したそうです
他のメンバーはしきりに「藤原は死ぬんじゃないか?」と思ってたそうです
『スノースマイル』よりも前から考えていたこの曲
まさにBUMP OF CHICKENというバンドの集大成といっても過言ではないでしょう

最近のインタビューでも一区切りのような曲、と思ってるようです


この曲は主人公が大切な『君』を失くしたところから始まります
『君』を探し続けて
その間にいろんな人と出会い、別れてきて
寂しさというものは繰り返すものだから
いつかはそれに慣れて忘れることができる、と思っています

「どんな夜を過ごしても昇る日は同じ」
というところからは未来への希望はまったく無い、ということが読み取れます

「破り損なった手作りの地図」とは主人公が思い描いていた未来
その現在地は理想とかけ離れてしまっていて
動かないコンパスを頼って
どうしようもない状況なのに動き出そうとしていない
涙で霞んだ目を凝らしても『君』は見つからないのに

自分がどうすればいいかわからないのに気づかないふりをして
過去にすがってる
『君』がいない世界での希望をあきらめている


そんな彼にちょっとした変化が訪れます
忘れたのは寂しいという気持ちではなく、温もりだということに気づいたのです
そしてそれを思い出そうとしています
『君』を失くしたこの世界で生きようとしています

再び動き出すには「サヨナラ」を言わなきゃいけない
まだ『君』を探したいのだけど、それよりも今は「夢の設計図」を完成させたい
現在地は理想と違っていてもこれからの未来を近づければいい
そう思ったのではないでしょうか

これが僕の望んだ世界
『君』もいない、理想ともかけ離れてしまったこの世界が
それは望んでしまった、と言った方がいいのかもしれません
その『夢』のために今も歩いている

一回転べばそのたびにくじけそうになるような不器用な道が
正しい道になるように祈って歩いていく

ここで彼は全部受け止めたんです
過去から逃げるのではなく、受け止めてそれを乗り越えようとしているんです

『君』を失くしてからは時間は進まない
『君』がいる思い出は止まったまま
だから、今は必要ない
それがあればまた立ち止まってしまうかもしれないから

それで『君』との思い出を切り取ったのではないでしょうか
それを彼は、『ロストマン』は気づいたんです

強く手を振ってサヨナラを言うのは『君』だけじゃなく、探し迷っていた自分
彼はやっと乗り越えることができた
これからどうすればいいかが見えてきた
コンパスがやっと動き出した

そんな現在地にシルシをつけ、ここを出発点にしたのではないでしょうか
過去の間違いを認め、未来の正しさを祈ることができるようになった現在地を

『君』がいないこの世界は今はまだ愛せない
きっともう会えないことはわかってるのではないでしょうか
そんなことよりも、今は進むべき道があるんですから

再会を祈るのはただ会いたいからなんかじゃなくて
『君を忘れたこの世界』を愛せるようになる瞬間がほしくて祈っているんだと思います
彼がほしいのは再会じゃなくて、再会したいと思えるような世界そのものなのではないでしょうか
それよりも、今自分が進んでる自分が信じて進んだ道の果てが正しくあるように祈っているんです


つまり『ロストマン』は
過去の間違いを認めそれを乗り越えた上で未来の正しさを祈っている人なんですよ
仕方なしにこれからを歩いてしまっているのではなく
自分が選び、出した答えに基づいて信じた道を進んでいるんです

『ロストマン』は間違ったとか失った人という意味ではなく正しさを祈ってる人なんだと思ってます

先々月の「ROCK’n ON JAPAN」で藤原さんのインタビューの中でこんなことをおっしゃってました

「選んだ答えを実行した以上は望んだ世界しか広がらないわけですよ
それがいかに現実と食い違っていたとしても、選んだ選択の積み重ねでそうなったわけだから
それを認めない以上は自分を否定するようなもんだからね
生きるっつうはそういうことなんじゃねぇかな、と…
それができなかったら死ぬしかねぇ」



これが『ロストマン』の考えたことなんだと思います
『ロストマン』が選んだ道はあきらめた選択ではなく、未来に希望を持った上で選んだ答えなんだと思います

誰でも大切なモノを失えば『ロストマン』になってしまいます
それが大切に思えば思ったほどに

曲の中の『ロストマン』のように未来に希望が持てなくなってしまいます
でも、そんな自分の過去や間違いを受け入れ、認めればどんな間違いをしても正しさを祈ることができるんです

生きていく上でそういう場面に必ず出会います
その上、一回ではありません

大切な親友を失ったとき
肉親や親類を失くしたとき
恋人と別れたとき

必ずそういう場面にでくわしてしまいます
そういうときこそこの曲を聞いてほしい
僕が作った曲ではないけれど、この曲はきっと答えのヒントをくれます
迷ってる自分の背中を押してくれます

僕もこの曲のおかげで何度も立ち上がれました

つまり、生きていくということが『ロストマン』なんじゃないかと
失って、答えを探すということができれば『ロストマン』になれるんじゃないかと

過去は忘れるものなんかじゃなく、乗り越えるものだということをこの曲は僕に教えてくれました


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